ダイビングライセンスを取っていざダイバーになると、「器材何買おうかなー?」と考え出す方も多いかと思います。そんな方々に役に立てばいいなと思い、ファンダイバーの立場から個人的な意見を書きました。参考になれば幸いです。
自己器材で潜るのは確かに快適
ライセンス取得後、インストラクターや周りの先輩ファンダイバーに「器材はレンタルではなく、自分の機材を買い揃えたほうがいいよ!」と器材購入を促されることがあるかもしれません。これ、インストラクターは確かに営業要素が入っていると思いますが、実際にフル器材購入してマイ機材で潜っている私からしても真実だと思います。
レギュレーターはどこに行ってもいつもと同じものであれば安心感が違いますし(レンタルの方がメンテナンスが行き届いているからいいという意見があることは承知していますが、これについては後述)、マスクはサイズが合わずに頻繁に水が入ってくるのを避けられる、ドライスーツもレンタルものの首元や手首のサイズが合わずに、バンドで締め付けても水没するということもそう起こらない・・・、と自己器材を持った方が快適にダイビングを楽しめるのは間違いありません。
一通りの器材を揃えるといくらくらいになるの?
確かに自己器材を持っている方が快適です。
だが、高い!
参考までに私が購入した各器材の値段はおよそ次の通りです。
器材 | 値段 |
---|---|
BCD | 100,000 円 |
レギュレーター(オクトパス、ゲージ含む) | 100,000 円 |
フィン | 20,000 円 |
マスク | 20,000 円 |
ダイブコンピューター | 80,000 円 |
メッシュバッグ | 7,000 円 |
フロート | 3,000 円 |
ライト | 20,000 円 |
ウェットスーツ(5mm; セミオーダー) | 120,000 円 |
ドライスーツ(セミオーダー) | 250,000 円 |
合計 | 720,000 円 |
流石にいっぺんに揃えたわけではなく、自分のやる気と必要性、お財布と相談して少しずつ揃えてきました。
実際には同じ器材でも高いものも安いものもありますので、上の値段は参考程度に見ていただければと思いますが、ライセンス講習費用高いなぁ・・・とか悩んでいたのがちっぽけに見えるくらいの金額がかかります。ノリと勢いだけで購入を決めると確実に後悔する金額です。
フル器材を揃えて元が取れるのはいつ?
単純に「自分のがいいから」という理由で器材を揃えるというモチベーションは全然ありだと思います。オープンウォーター講習のテキストには「ダイビング中にストレスを感じる要素は極力排除すべき」という趣旨のことが(多分)どの団体でも書いてあると思います。ストレスを感じるくらいなら自分の器材を揃えるという考え方も良いと思います。
だが、高い!
ダイビングをするモチベーションはたっぷりでも、普通の人なら二の足を踏むと思います。私もダイビングを始めた頃は、自分が今後どれくらいダイビングを続けるか分からなかったので、すぐに自己器材を揃える気にはなりませんでした。
なので、ここでは純粋に経済性だけを割り切って見て、何本くらい潜ったら揃えたフル機材の元が取れるかを計算してご紹介します。
すごく単純に計算すると、400本潜る予定があるならばフル器材を揃えてもいいと思います。計算式は次の通りです。
(元が取れる本数)=(フル器材の購入費用)×(1日あたりに潜る本数)/(1日あたりのフルレンタル費用)
それぞれに入る値を概算していきます。
まず、フル器材の購入費用。これは上の72万円という数字を利用します。
次に1日あたりのフルレンタル費用です。これは大雑把に4,000円とします。沖縄や海外ではレンタル費用無料というショップもあります。
最後に1日あたりに潜る本数です。都市型ショップの日帰りで1日2本、沖縄などのリゾートで1日3本、クルーズダイブで1日4本くらいとすると、それぞれの頻度の重みをつけて計算すると平均2.5本くらいでしょうか。この辺は主にどこで潜るかに依存しますので、人による値かと思います。
結果、
(元が取れる本数)= 720,000 × 2.5 ÷ 4,000 = 450 本
となります。ドライスーツはもっと安いものがありますので、控えめに400本くらいかな、といったところです。
年間50本潜ったとして8年です。フル機材はそれだけ長く続けるかを熟慮して購入を検討するのが良いと思います。
純粋に経済性のみを見た場合、生涯でこれだけ潜るかどうか自信がなかったり、旅行時にたまに潜るくらいであったりするのであれば、都度レンタルを選択するのが良いと思います。旅行でしか潜らない場合、毎回器材をわざわざ持っていく手間も省けますのでなおさらです。
器材を購入する際の優先順位
純粋に「元が取れる」という観点から「あまり潜らないならばレンタルで十分ですよ」という結論に至りましたが、ダイバーとして自己所有しておくべきものというのはあると考えています。また、器材の中には自己所有だとストレス軽減効果が高いものと低いものがあります。この辺を紹介しようと思います。
自己器材として持っておくべきもの
ダイブコンピューター
ライセンス持ちダイバーとして、ダイビング中の自分を管理するために必要なダイブコンピューターは自分のものを持っておくべきでしょう。
レンタルがあるショップも多いですが、毎回違う機種を利用していると、見方を間違えたり、DECO に気づかなかったりと、ものによっては命に関わる判断ミスを生む可能性があります。
レンタルがないショップでも、ダイビングコンピューターなしで潜らせてくれるところはありますが、ガイドさんは事故を起こすわけにはいかないので、ダイビングコンピューターなしの人がいた場合、深場に行かないなど安全策を講じます。深場が見所のポイントで連れて行ってもらえないのは残念ですし、同じグループで潜った方もそのとばっちりを受けますので周りからもよく見られません。
ダイブコンピューターは確かに高額ですが、ライセンス(Cカード)と同様同等の、ダイビングをするに当たって最小限の出費と割り切りましょう。
ライト
ライトは生き物をよく見るために光を当てるための他、洞窟など暗い場所に入った際や透明度の悪い海でのシグナルの用途でも使います。透明度は急激に悪くなることもあるので、どんなダイビングでもライトは必須の器材です。レンタルがないショップもありますので、自分のものを最低一本持っておくようにしましょう。
フロート
100本くらいの経験があると、自分がロストした(はぐれた)、チームメンバーがロストした、メンバーがロストしたことがあるという話を一緒に潜った人から聞いた、のどれかは経験すると思います(特に海外を経験すると)。
明日は我が身です。ロストは写真に夢中になっていたなど自分のせいで起こることもありますが、流れが急に強くなったとか急に透明度が低下したとか自分ではどうすることもできない事象で引き起こされることもあります。インストラクターだって万能ではないですし、(海外では特に)万が一の時の面倒を見てくれる存在でもありません。ロストした時に自分で対処するため、フロートは必ず所持しておきましょう。なぜかレンタルがないショップが多い印象です。
自己器材で持っていると良いもの
ドライスーツ
上記表で最高額であるドライスーツをここに挙げるのは心苦しいです。が、ドライスーツはセミオーダーの自分のものがあると圧倒的に快適です。
レンタルのドライスーツ最大の弱点は、首元と手首部分のサイズが自分にジャストフィットしないことです。ここがジャストフィットしないとスーツの中に海水が入ってきて水没します。ドライスーツで潜るのは大体寒い時期ですので、水没は不快感だけでなく体調不良の原因になります。首元と手首を締めるバンドを利用すれば状況はだいぶ改善しますが、それでも首や手首の動きが大きければ水没します。
ドライスーツを購入する場合は、費用はかさみますが必ずセミオーダーにして、自分の体型に合ったものを首と手首部分のフィット感重視で購入することを強くお勧めします。ケチってセミオーダーにしないで吊るし(既製品)を買うと、レンタルと同じ問題が起こりますので、買うメリットがほとんどありません。
言うまでもないですが、ドライスーツを着なければ潜れないような時期・場所で潜らない人には無縁の話です。
レギュレーター
「レギュレーターは自己器材よりもメンテナンスが行き届いているであろうレンタルを使った方が良い」という考え方があります。経験上、これは日本国内で潜る限りにおいては正しいんじゃないかと思います。
問題は海外です。本来、国内だから、海外だから、で区別される問題ではなく各ショップの意識の問題でしかないのですが、経験上海外のショップの方が器材のメンテナンス状況は良くないです(日本でも酷いところあるけど)。
昔某国のリゾートでレギュレーターをレンタルして潜ったのですが、水深10mくらいでレギュレーターのトラブルに見舞われました。落ち着いてオクトパスに加え直して事なきを得ましたが、これがきっかけでパニックを起こしていたら大事故になっていたと思います。
私はレンタルの良メンテナンスに期待しようと思っていたわけではないのですが、直接生命に関わるところは自分で管理しなければならないなと痛感し、帰国後大枚を叩いてレギュレーター一式を購入しました。
まとめ
長い記事になりましたが、最後に要点をまとめます。
自己器材購入のまとめ
- 400本潜る未来が見えないなら、器材はレンタルで通す方が安上がりです。
- ただし、ダイブコンピューター、ライト1本、フロートは自己所有することを強くお勧めします。
皆様、良いダイビングライフを!