タイのタオ島にある「セイルロック」というポイントを紹介します。
セイルロックってどんなポイント?
タオ島の南、パンガン島との間あたりにポツンと存在する根の周りを潜るポイントです。
タオ島から行けるポイントの中では魚影は最も濃く、タイに数あるポイントの中でも1, 2を争います。
ボートを固定するブイが2つしかないので、後から来たボートは先に止まっているボートと繋いで停泊します。2艘目以降のボートは、エントリー後、先頭ボートが繋いでいるブイのところまで水面移動してから潜降する羽目になります。超人気ポイントなので何艘ものボートが数珠繋ぎ状態になり、水面移動が5分に及ぶことも・・・。
朝イチでセイルロックに着いてくれるショップにお世話になるのが最良です。
圧倒的な魚群
このポイントは「とにかく魚影が濃い」この1点に尽きます。
ギンガメアジ
とにかく群れが大きいです。
大きすぎます。
ワイドコンバージョンレンズを利用して画角を大きくしても全体像が収まりません。
是非一度は行って潜って全身でこの群れの大きさを体感していただきたいです。
被写体としては粟国島くらいのサイズでコンパクトに玉状にまとまっていてくれた方がありがたいかもしれません。贅沢な話ですが。
ストロボが当たる距離まで寄ると、もう全体像なんかさっぱり分からず、私の腕では群れの大きさを全く表現できません。
粟国島でギンガメ玉を割ると大ひんしゅくですが、セイルロックでは堂々と割れます。
というか、群れが大きすぎて、ダイバーなんか意に介さず群れの方からダイバーに向かって突っ込んでくることもしばしばなので、割るなという方が無理です。
ギンガメアジがトルネード上に旋回することがあります。
運良くその中に巻き込まれると、上下左右にまるで壁のようなギンガメアジの群れが・・・。
ギンガメ玉の上位互換、ギンガメウォールは必見ですぞ。
バラクーダ
まずはシェブロンバラクーダ(オオカマス)。
実に堂々と泳いでいて、方向転換の時に写真のようにトルネードを巻くこともしばしばです。
ギンガメアジと比較すると、ダイバーからは離れていく方向に泳ぐ傾向にあります。
水底が多分40mくらい(流石に水底まで行ったことはない)なので、セイルロックの普段の透明度なら上下に逃げて行っても十分観察できますので、焦って追いかけないようにしましょう。余計に離れて行っちゃいます。
近くに寄ると銀色に光るボディがとても魅力的です。光り物は美しい・・・
シェブロンバラクーダより2回りくらい大きいのがピックハンドルバラクーダです。
こいつはシェブロンバラクーダほど密集して泳ぎません。上の写真の群れでかなり密集している方です。なので、群れ感はイマイチないのですが、大きな群れになるとピックハンドルバラクーダが中途半端な密度で後から後からやってくるので、密集した大きな群れを作る魚の群れと比べると、群れに圧倒される感覚が遅れてジワジワやってきますね。
ピックハンドルバラクーダの群れはチュンポンピナクルでも見られますが、セイルロックの群れはチュンポンピナクルの数倍はあるのが普通です。
ちなみに、ピックハンドルバラクーダは黄色い尾を持つため、イエローテールバラクーダとかイエローフィンバラクーダとか呼ばれたりもします。
反対にシェブロンバラクーダより1回り小さなタイワンカマスも稀に見ることができます。
バラクーダ天国だね、セイルロックは。
これでグレートバラクーダ(オニカマス)までいればパーフェクトなんですが、私は見たことがあります。タオ島海域では、単体で悠然と泳ぐグレートバラクーダをホワイトロックで見たことがあります。
その他の魚
チュンポンピナクルやサウスウェストピナクルのように密度の濃いテルメアジの群れが見られます。
もうこれは群れというより岩にこびりつく何かって感じで、群の下から上を見上げてもどこで終わるのかわからないくらいの群れです。
ただ、経験上、テルメアジの群れはいないことがあります。チュンポンピナクルではほぼ100%見られるので、どうしてもテルメアジが見たければチュンポンピナクルでどうぞ。
水面の近くにツバメウオがどっさりと群れることがあります。
写真の右上にブイに紐づいたロープが見えますが、この写真はエグジット直前に撮影したものです。
エントリーからエグジットまでフィッシュウォッチングに気を抜けないのがここセイルロックです。
ちなみに上のツバメウオの群れは遠くから見るとこんなに大きかったです。
日本ではこんなサイズのツバメウオの群れは見られないですね。
上の方にあるピックハンドルバラクーダの写真にこっそり紛れ込んでいたこいつはオオクチイケカツオです。
細長い胴体を持つバラクーダと比較すると幅があるので、たくましく見えます。尾びれと背びれをしっかり立てて堂々と泳いでいます。
セイルロックの至る所で見ることができますが、数匹サイズのグループで行動するようで、大きな群れにはなりません。
カツオの一種(サバ科)かと思っていたら、イケカツオ属(アジ科)なんですね。見かけは似ているのだけれども、マグロのお友達じゃないのか・・・
タオ島でよく見かけるタカサゴはセイルロックでも群れています。
その他、ユメウメイロやササムロも大きな群れで群れています。
癒しのサンゴ&イソギンチャク
たくさんの群れを見てお腹一杯になってしまったら、イソギンチャク畑を見て心を落ち着けましょう。
セイルロックの北側にはイソギンチャクが群生しており、その周りをクロリボンスズメダイが舞っています。もちろん、イソギンチャクにはタイ湾らしくハナビラクマノミがごっそりと生息しています。
安心のタオ島の風景ですね。
セイルロックは海底から突き出した岩ですが、中腹にイソギンチャク畑に加えて立派なサンゴも生息しています。その周りにはまたクロリボンスズメダイが群れており、群れを楽しんで一休みするのにうってつけです。
こっそり洞窟も・・・
圧倒的な群れに釘付けになってしまいがちですが、セイルロックの北側には竪穴洞窟があります。
ここで何十分も遊ぶところではありませんが、興味があればリクエストしてみると良いと思います。
個人的な感覚ですが、日本人ガイドはダイバーの様子を見つつゆっくり海を紹介してくれる一方で、外国人ガイド(一括りにするのも変ですが)はガンガン泳いで色々なものを見せてくれる傾向があります。上の洞窟も外国人ガイドさんに連れて行ってもらった時のものです。日本人ガイドに連れて行ってもらったことはないので、日本人ガイドをお願いする場合は、リクエストしないと存在すら知らずに終わってしまうかもしれません。
ポイントデータ
項目 | 内容 |
---|---|
レベル | 中級 〜 |
形態 | ボートダイブ |
水深 | 〜 25m |
水温の目安 | 27 〜 29度(3月)、28 〜 30度(7月) |
中層を泳ぎ続けるので中性浮力のスキルを十分に持っている必要があります。また、それなりに流れがあることが多いことから、中級者以上のポイントです。
セイルロックには隠れ根があります。ギンガメアジやバラクーダがよく群れているのは、セイルロックと隠れ根の間くらいの中層です。隠れ根の方に行くには上級レベルのスキルを要求されます。観察するだけであればセイルロック側から観察すれば良いですが、群れに寄ったり、一緒に遊ぼうと思うと隠れ根に行けるスキルが必要になりますので、セイルロックに行く前に十分に練習しておきましょう。
セイルロックで潜るには?
セイルロックツアーはタオ島発のものとサムイ島発のものがあります。いずれも午前2本のプランがメインなので、個々人のスタイルや旅程と相談してどちらか選ぶと良いと思います。
参考のために、私が考えるそれぞれのメリットデメリットを記載します。
タオ島から
タオ島発ツアーのメリットとデメリットは以下の通りです。
- サムイ島ツアーより早くセイルロックに着けるので、混雑を回避できる。
- ショップによっては、午後からタオ島周りで2本潜れる。
- サムイ島発ツアーよりちょっと安い(4,000バーツ弱;2023年)。
- セイルロックまで2時間程度かかる(船が遅い)。
- 集合時間が早い(おおむね朝6時台)。
大体タオ島ツアー2本目の時間とサムイ島1本目が同じくらいの時間帯なので、一本目はサムイ組なしで潜ることができます。
ただ、タオ島内ショップ同士の混雑は避けられません。なので、デメリットに「集合時間が早い」と書いたものの、集合時間が早い(=セイルロック一番乗りできる)ショップの方が個人的にはありがたかったりします。潜りたがりにとっては朝ごはんとか割とどうでもいいです(でも本当はツアーに付いてくる簡素な朝ごはんが好き)。
タオ島からセイルロックに向かう船は「ポンポン船」と呼ばれるゆっくりと進む船なので、本当に2時間かかります。その上、セイルロックは外洋ポイントなので、船が結構揺れることもあります。船酔いの激しい方には強烈なデメリットかもしれません。
ちなみにタオ島帰島は13時過ぎです。
サムイ島から
一方でサムイ島発ツアーのメリットとデメリットは以下の通りです。
- 朝食をゆっくり食べて出られる(サムイ島出航は8時前後)。
- 高速艇利用のため、セイルロックに1時間程度で到着できる。
- 一旦タオ島に移動する必要がない。
- 混雑の中潜ることになる。
- 一日のダイビングはセイルロックで終わり。
- タオ島発ツアーと比較してちょっと高い(5,000バーツ弱;2023年)。
集合時間が海外のダイビングツアーにしては遅めな点は、ダイビングだけでなくサムイ島のリゾートを朝食含め楽しみたい方にとっては大きなメリットだと思います。
わざわざタオ島に渡ってガッツリダイビングしたいというわけでもない方、ド本命セイルロックだけ潜れれば良いと考えるダイバーにとっては良い選択肢です。
タオ島発ツアーと比較して1,000バーツほど高いですが、タオ島に渡れば往復1,400バーツ(2023年時点)と片道1時間半かかりますし、タオ島に用がなければむしろ割安です。
混雑とは言ってもタオ島組と主にかち合うのは1本目だけで、2本目はかなり空くと思います。ただ、多くのダイバーが潜った後ですので、海のコンディションは若干良くないです。
私のおすすめは?
私は混雑のないセイルロックに潜りたいので、タオ島発ツアー一択です。
ただ、朝早い分当日の朝食を取らなかったり、前日夜を早めに切り上げたりと犠牲にするものはありますので、結局は個々人が大事にするものを考慮して決めれば良いと思います。