いざダイビングのライセンスを取得しようとショップを調べだすと、費用が結構高いことに気づくと思います。相場も分からず簡単に出せる金額でもなく二の足を踏んでしまう方も多いかと思いますので、ここではライセンス取得費用の相場をその根拠と共にお伝えしようと思います。
ここでお伝えするのはオープンウォーターダイバー(指導団体によって呼び方が微妙に違う可能性があります)という、ライセンス持ちダイバーになるために最初に取得する初級ライセンスの取得費用です。
アドバンスオープンウォーターダイバーなど、より進んだライセンスの取得を考える頃にはなんとなく相場感もわかってくると思います。その感覚がまだない、ダイビング入門時のお話です。
まずは結論
まずは数字から。2022年末時点で、概ね次の値が相場です。
オープンウォーターダイバーライセンス講習の典型的な費用
- 都市型ショップ: 6万円 〜 9万円
- リゾート現地型ショップ: 5万円 〜 8万円
※講習代、器材レンタル代、教材代、ライセンス申請費用の合計です。交通費や宿泊費は除きます。
例えば、私がこれまでお世話になったいくつかの信頼できるショップでのライセンス講習の費用は次の通りです(2022年末調べ)。
ショップ | ショップのスタイル | 講習費用(講習+器材レンタル+教材+ライセンス申請費用) |
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東京都23区内ショップA | 都市型 | 79,000円 |
愛媛県松山市ショップB | 都市型 | 71,500円 |
東京都八丈町ショップC | リゾート現地型 | 66,000円 |
沖縄県那覇市ショップD | リゾート現地型 | 58,560円 |
沖縄県宮古島市ショップE | リゾート現地型 | 66,000円 |
以下でこれくらいになる合理的な理由を見ていくと納得いただけるかと思いますが、2ボートのファンダイビング費用の3.5倍 〜 4.5倍くらいが相場です。
※ファンダイビング = ライセンスを持っている人がレジャーで行うダイビングのこと(通常「ダイビング」と言ったらこれのこと)
これくらいの費用になる理由
次の2つを理解しておけば、相場にご納得いただけるかと思います。
講習もファンダイビングもインストラクターとベッタリという点では同じ
要は人件費は講習もファンダイビングも大して変わらない、ということです。講習は技術を教えるという要素があったり、ファンダイビングより少人数で行うのが普通だったりするので、同じ時間でもファンダイビングより高くすらなりうるということは直感的に理解できるかと思います。
オープンウォーターダイバーの講習の内容はざっくり次の3つです。
- 座学
- プール講習(または極めて穏やかな海での基礎技術講習)
- 海洋実習4本(少なくとも2日以上に渡って行う)
全ての行程を2日で終えることも物理的には可能なようですが、一般的には3日かかります。
海洋実習は1日2本×2日で行うことが多いです。講習ではあるものの潜って帰ってくるという意味ではファンダイビングとほぼ同じなので、1日あたりファンダイビング1日分くらいの費用がかかるのは納得いただけるかと思います。
プール講習は時間的には半日弱ではありますが、インストラクターは1日弱拘束されますので、これもファンダイビング1日分弱かかるのが妥当です。
座学も半日くらいインストラクターを拘束します。
これに加えて海洋実習の際の器材レンタル料金、座学の教材費用、全行程完了後のライセンス申請費用を加えると、ファンダイビングの4〜5倍かかるというのは妥当な水準と思えると思います。上で紹介した5つのショップではファンダイビング(2ボート)の3.5〜4.5倍のレンジに入っています。パッケージ料金で少しディスカウントされていそうですね。
余談ですが、最近は座学を事前にオンラインで済ませるタイプのコースもあります。このタイプのコースは費用が少し抑えられる傾向にあります。
ダイビングショップのスタイルによる違い
ダイビングショップのスタイルには大きく分けて都市型と現地型の2つがあります。
都市型ショップは、街中にあるショップで、車等で機材と共に海に行って潜る(ツアー)というスタイルのショップです。一方で現地型ショップは海の側にあるショップで、その名の通り現地でビーチなりボートなりでダイビングを楽しめるスタイルのショップです。特に沖縄や海外リゾート地にある現地型ショップをリゾート現地型ショップとここでは区別して呼んでいます。
沖縄の那覇市街にあるショップは車で遠出することもあるけど都市型ショップなのか現地型ショップなのかとか細かい話はありますが、港に直で向かうことも多いので、沖縄のショップはリゾート現地型ショップとここでは区分することにします。
都市型ショップは主に週末ダイバーがお客さんになりますので、リゾート現地型ショップと比較して平日のお客さんが望めません。このため、ファンダイビング自体がリゾート現地型ショップと比較して高く設定される傾向にあります。結果として都市型ショップの方がライセンス講習費用が高い傾向にあります。
交通費と宿泊費
リゾートでライセンス講習をする場合は、現地までの交通費や滞在費がかかるというのは説明不要かと思います。なので、都市型ショップでのライセンス講習の交通費と宿泊費について少し説明します。
例えば東京都内にある都市型ショップでライセンス講習をする場合、千葉や伊豆などの海で海洋実習を行うことが多いです。そうなると高速道路を利用して長距離移動しますので、「交通費はタダで」というわけにはいかないです。
また、2日間の海洋実習は、週末1泊2日で集中して行いたいという方もいれば、2連休を取れないので2回に分けて行いたいという方もいると思います。前者は1泊と1往復、後者は2往復分の費用がかかりますので、人によってこの部分の費用は変わってきます。なので、通常交通費と宿泊費はライセンス取得費用に含まれていません。
これらがいくらくらいかかるかは、講習申込時にしっかり確認しておきましょう。
相場より安すぎる価格設定には注意
そこそこ長くダイビングをやっていると「ライセンス講習費用が安かったのでお願いしたら、高額の器材を強引に買わされた」という話を時々聞きます。よく話を聞いてみると、ライセンス講習費用は相場上限の半額程度(2万円〜3万円)でした。上で書いた通り、この金額では採算が取れませんので、器材と抱き合わせて採算を取ろうということだったのでしょう。
器材販売自体はどのダイビングショップでもやっています。ダイビング器材は命に直結するものですので、器材を熟知したインストラクターに説明していただいて購入するのは理にかなっています。ただ、ものによっては高額なものも含まれますので、強引に買わせるのは悪質と言われても仕方ない気がします。
器材の値段はピンキリではあるのですが、興味があれば私の自己器材のおおよその値段をご参照ください。
一方で、リゾート現地型ショップはオフシーズンでもそれなりにファンダイバーがやってくるので、採算とオンシーズンに帰ってきてくれる期待を天秤にかけてか、ライセンス取得費用の期間限定の大幅値引きは時々見られます。こういう機会はしっかり話を聞いて賢く利用すればいいと思います。一方で都市型ショップで相場より大幅に安くできる理由はあまり思い当たりませんので、講習費用があまりに相場からかけ離れて安い場合は少し構えた方が無難かと思います。
というわけで
2022年末時点では、概ね次の値がオープンウォータダイバーライセンス講習の相場です。
オープンウォーターダイバーライセンス講習の典型的な費用
- 都市型ショップ: 6万円 〜 9万円
- リゾート現地型ショップ: 5万円 〜 8万円
※講習代、器材レンタル代、教材代、ライセンス申請費用の合計です。交通費や宿泊費は除きます。
※ファンダイブの3.5倍 〜 4.5倍くらいが目安。
決して安いとは言えない金額ですが、いざダイビングをやろうと決めたならば、それに見合うリターンは得られると思います。